2008年12月4日掲載

ご報告
山口県東部に緩和ケア病棟開設

前川 育

 12月1日、徳山中央病院に緩和ケア病棟が開設されました。新聞やテレビを見られた方から、「おめでとう」という電話やメールが入ってきています。「周南いのちを考える会」の悲願だった緩和ケア病棟開設です。実現の運びとなったのは、会員の皆さまの後押しのお陰です。心から感謝を申し上げますと共に、緩和ケア病棟開設の喜びを分かち合いたいと思います。

 今まで、私たち「周南いのちを考える会」は、「市民・地域と共に歩み、作り上げてゆく緩和ケア病棟」をイメージし、期待して市民運動を展開してきました。この8年間の学びや経験を、使ってほしいと思い、病院との話し合いを何度も試みましたが、共に歩むことは難しいようです。やはり医療者と市民の間には、埋めることのできない溝があるのでしょうか。とても残念に思っています。

 11月25日、徳山中央病院緩和ケア病棟の開設式がありました。正直なところ出席するべきか、しないほうが良いか悩みました。しかし、最後まで筋を通したいと考え、出席させていただきました。病棟は、まだ未完成な部分もあり、案内などの栞もなく、部屋の料金も未定ということでした。

今までの経緯と事務局の活動をご報告します

2001年6月 「周南いのちを考える会」設立総会

2002年9月
    2万5千人の署名をもって緩和ケア病棟設置の要望書を県知事へ
    「県としては側面的に応援する」(二井知事)

2004年12月
    光市議会へ請願書提出

2005年6月上旬
@ 徳山中央病院井上院長を訪問(緩和ケア病棟設置の意志があることを聞いたため)
A リハビリ室の上(2階)へ作りたいとの青写真があった。

同年6月15日
    医務課訪問 今村部次長・倉重医務課長・吉谷さんと面談    

@「徳山中央病院に緩和ケア病棟開設の意志があるので、特例病床での設置を考えていただきたい」とお願いに行った。
A県の見解は、
周南医療圏はベッドが過剰地域なので、徳山中央に増床は無理

同年6月下旬
    県の対応から難しさを感じ、どうすれば良いか困り、厚生労働省医政局指導
へ電話で問い合わせをした。

    見解は、 
@ 国としては県に対し、指導監督する義務にはなっていない。
A 地域医療計画は一般論としては県が決める。
B 地域医療圏にベッド数がオーバーしていても、例外的に特定病床として増床を認めることができる(医療審議会で意見を聞いて決める)
C 特例病床→緩和ケア病床
  県が、県の医療の状況を加味して、緩和ケア病床が不足している
と位置づけ、県知事が決める→厚生労働大臣が助言

2006年5月15日  周南いのちを考える会総会にて
@光市はほぼ無理であろう。
A徳山中央病院が設置の意志があることを会員に伝えた。

同年5月22日
 徳山中央病院井上院長に面会(藤井県議・前川)

@病院内の転床は無理
A5〜45床のベッドを市民運動で何とかしてもらえれば、緩和ケア病棟を作る。
B看護部に会と連携した緩和ケア勉強会のようなものを提案しても良いかを、
井上院長に確認し、了解を得た。

2007年4月
中央病院院長が、井上院長から、林田院長に。

同年5月
 医療審議会にて徳山中央病院に緩和ケア病棟のための特例病床25床が認められた。

同年秋
 ホスピスボランティアは、「周南いのちを考える会」にお願いするとの、林田院長・
伊東副院長からの話があった。

2008年1月初旬
・ 厚労省から県へ許可
・ 2月から設計に入り、設計が基準を満たしていれば即、許可の準備

同年2月頃
徳山中央病院からの連絡がなくなった。

3月31日 県が正式に特例病床を許可。

以来、緩和ケア病棟のボランティアに関して、私たちも入れていただきたいと申し入れをしたが、あくまでも一般公募とのことであった。

12月1日  緩和ケア病棟開設



周南いのちを考える会のこれから

 この8年間、新しい出会いや別れがありました。私の人生の中で、最も充実し、最も考えさせられた8年間でした。会員の皆さまの支えで、ここまで来ることができました。
私たちの市民運動がきっかけで、「山口県東部へ緩和ケア病棟設置」が実現したと自負していましたし、今後は「周南いのちを考える会」がコアメンバーとして活動できると考えていました。しかし、病院にとっては、特例病床を獲得した後は、市民運動の会には用事がないようです。緩和ケア病棟にとって、社会の風を運ぶボランティア大切な存在だと信じていただけに残念で仕方ありません。会員の皆さまには、あくまでも個人として応募していただき、緩和ケア病棟に社会の風を運んでいただければと願っています。

いまや、国民の2人に1人は、がんになるという時代です。会の初期目的は達成しましたが、やはり、私たちの「周南いのちを考える会」の灯は消してはならないと思います。
まだ、模索中ではありますが、今後の方向を、次のように考えています。

☆がん患者さんからのご相談を受ける             
☆がん情報の発信・勉強会
☆一人暮らしのがん患者さんへのサポート
☆がん患者会

可能であれば、島根県の「がんサロン」のような場所を作りたいと思っています。
場所など、問題は山積です。


来年度は、あくまでもイメージなのですが、

 ボランティア会員 : 会の活動をお手伝いいただける方
 個人賛助会員(ご寄付) : 会の趣旨を個人で支援いただける方
 団体賛助会員(ご寄付) : 会の趣旨を団体(企業など)で支援いただける方

(会員年度は4月〜3月までの1年間とし、退会のお申し出がない場合は、 入会継続)
といった感じでは、いかがでしょうか?

              



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