2005.7.10 up

2005年7月6日発行 第17号会報より
第1回がん患者大集会         NHK大阪ホール 5月28日(土)

がん難民!そんな言葉をなくしたい!!
〜変えよう日本のがん医療・手をつなごう患者と家族たち〜
http://www.daishukai.net/
「患者が主体となった医療改革を推進すべきである」と、がん患者と家族による初の大規模な集会が開かれ、会からも5名の方が出席されました。
レポート 

患者・家族のパワーが結集

次郎長



 会場は熱気に包まれ、1200人収容のNHK大阪ホールは満席でした。モニター画面で観る別会場も含めると入場者数は約2000人、参加申し込みはさらにその数倍もあったとか。

 最初に、集会発案者でもある三浦捷一実行委員会代表(がん患者であり医師)が「日本のがん医療を変えてがん難民をなくそう。そのためにも、全国のがん患者と家族たちが手をつなぎ声を上げるべきだ」と訴えられました。

 京都大学医学部教授福島雅典氏は基調講演で、「がん医療の先進国アメリカはがん制圧を国家的プロジェクトと位置付け、早くに国家がん対策法を定めて毎年巨額の予算を計上し強力に推進してきた。その結果、近年がん死亡者数が減少しはじめた。それに比べて日本は、厚生労働省や医療業界の取り組みがばらばらで専門医の育成も遅れ、抗がん剤治療を専門とする腫瘍内科医も、放射線治療医もアメリカに比べると桁違いに少ない。その結果、日本のがん死亡者数は今も増え続けている」と説明されました。

 大会後半のディスカッションでは、「医療の地域格差が大きく、数少ないがん専門医は都市部に集中している。地方では良質な医療を受けたくても受けられない」との切実な声が患者代表の佐藤均氏や会場から上がりました。これらの話から、私たちがいかにがん医療の後進国にいるか、いかに医療僻地にいるかを思い知らされました。

 その他多くの問題が提起され、それらを纏めて前向きな提言がありました。がん患者がより良い治療を受けられるための、患者主体の「日本がん情報センター」設立の構想です。三浦代表が同センターの早期設立を要望する決議文を読み上げ、尾辻秀久厚生労働大臣に手渡されました。尾辻大臣は挨拶の最後に「5年生存率を20%引き上げます」と言われました。「いつまでに」との言及はありませんでしたが非常に心強い発言で、これは大会に結集した患者、家族のパワーが引き出した一つの成果だと思います。

 日本のがん医療も患者たちの声でやっと動き出したようです。しかし、現在はまだ大きな地域格差があり、がん対策はのろのろとしか歩んでいないことがよく分かりました。立ち遅れた医療の現状に対する悔しさと、もどかしい思いが大きな印象となりました。        

topへ


NPO法人周南いのちを考える会