2005.7.10 uo
2005年7月6日発行 会報第17号より
"がんサバイバー"

 前川 育

                                   
 最近、"がんサバイバー"という言葉を耳にする機会が多くなった。サバイバーの意味は「生存者」である。単なる「がんの生存者」ではなく、「がんと共存し、意味のある人生を生き抜く積極的な生き方をする人」という意味らしい。

  6月28日、"がんサバイバー"のお一人だった島根県の佐藤均氏が亡くなられた。56歳だった。「癌と共に生きる会」http://www.cancer-jp.com/の会長として、未承認抗がん剤の早期承認や腫瘍内科医の育成を国に強く働きかけ、厚生労働省「がん対策推進本部」発足の原動力になられた方である。大阪で第1回がん患者大集会が開催された5月28日には、佐藤さんは壇上で「この日を待っていたんです!この大会を1回で終わらせてはいけないんです。」と発言された。佐藤さんたちは、ご自分のいのちを犠牲にしながら国や社会に向けて発言をし続けられた。そのお陰で、これからの日本のがん医療が変わっていく。

 3月に東京で初めてお目にかかったとき、「山口県ですか!!」と嬉しそうなお顔をされた。「山口県には市民活動の会はないと思っていたんですよ。山口と島根は、がん医療の後進県ですから我々がもっと頑張らねばならんのです。」とおっしゃったので今後の交流を楽しみにしていたのだが、残念ながら、この日の数分の出会いが最後になってしまった。

 現在、日本の"がんサバイバー"は 約300万人、2015年には500万人を超すとみられている。治療中の人・経過観察中の人、そして治った可能性ある人も、再発転移の不安、いろいろな心の悩みをかかえながら生きている。

 しかし、私のまわりのがんの仲間はみんな積極的に日々を生きて、決してあきらめない"がんサバイバー"である。患者は心身ともに苦しみながら、少しずつ強くなっていく。当事者でないとわからないことがあり、当事者でないと出来ないことがある。それを理解してもらえるよう努力しながら、一人の"がんサバイバー"として、この地域で何が出来るかを考えていきたい。

佐藤さんのご冥福をお祈りしています

NPO法人 周南いのちを考える会

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