光市議会における「緩和ケア」の討論

光市議会会議録より抜粋引用 その1

2001-2004.3 2001年から緩和ケア病棟設置を求める請願の採択までの討論
2004.03.08

平成16年第1回定例会(第4日目)本文 
  ◯2番(森重 明美君)
  ◯市立病院事務局長(田中  修君)
  ◯2番(森重 明美君)
23 : ◯2番(森重 明美君)
最後に、「支える医療」「見放さない医療」住民参加のホスピスでございます。
 光市立病院に緩和ケア病棟の設置を求める請願が提出され、12月議会で採択をされました。
 日本では、国民の30%が癌による死亡であり、癌患者にとって、末期癌の痛みは耐え難く、それに伴う心身の苦痛は想像を絶するものがあります。厚生労働省の設置基準に基づき、県の認可を受けたホスピス・緩和ケア病棟では、医師、看護師、カウンセラー、栄養士、ボランティアによって、痛みのコントロール、諸症状の軽減、そして、精神的苦痛を和らげるための質の高いケアが提供されています。患者にとっては、家にいるときと同じように、十分自分らしく最後まで生きる場所、専門家やボランティアが周りにいて、必要なときにはいつでもサポートを受けることのできる場所と言えます。
 我が国では、死期が迫ったとき、安らかに自然な死を迎えたいという本人の希望がありながらも、緩和ケアへの認識不足と設置不足により、死期を延ばすだけの延命措置が多く行われていることも事実でございます。また、最先端医療の進歩・発展という輝かしい未来を夢みる余り、治癒されない人を置き去りにしていく、医療の過ちを根本から見直していく必要があるように思います。今の医学は、病気は診るけれども、人間を診ようとはしていないとの見解もございます。
 いつかは誰もが治らない患者となり、あるいは、老いという緩やかなターミナル期を経て、誰もが死んでいきます。死は人生の根本問題であり、無関係な人は一人もいません。しかし、多くの人々は、それを忘れて生きる。いや、むしろ、目をそむけて生きているとも言われています。
 21世紀の医療は人間が焦点であり、患者・家族を中心にというホスピスケアの考え方は、これからのテーマと言えます。例え治らない病であっても、社会や医療現場から見捨てられてこの世を去るというのではなく、最後の最後まで自分なりの生を輝かして生きる。その生き方を尊厳ある死として支えていくこと。そして、その中から、より良い生をともに意識し学んでいける社会を築いていくことは、21世紀の最大の課題であるとも言われております。ホスピス緩和ケア病棟の存在は、そのための礎であるとも言えます。
 これまで、抗癌剤至上主義の医療現場では、緩和ケアはあくまでも対立する側の医療取組みとして、一線を交えない理論もあるようですが、実際に緩和ケア病棟を利用した患者さんや家族の言葉が、そこに働く医師やスタッフ達の意識を大きく変えてきたと言えます。「一般病棟とは違う時間を過ごすことができてよかった」「良いところを紹介してくれて感謝します」「満足できる最後を過ごした実体験者として、後の人に必ずホスピスのことを伝えていただきたい」等、その最期をみとった家族やスタッフのほとんどが認識を新たにすると言います。
 ホスピスとは、癌の終末期だけでなく、今後、住民参加も含めた理想的な医療の在り方を模索する理念であり、安心・安全のまちづくりには欠かせないものになってくるであろうと思います。もし癌を治すことが困難でも、人生の最期を苦痛なく穏やかに過ごし、自分なりの人生の締めくくりをしたいと望むときに、その地域で緩和ケアの選択肢が可能であれば、市民にとっては、どれほど心強いことでしょうか。
 痛みをとることを中心に行う緩和ケアの専門医とは、一般の医師と何が違うのか、お尋ねをいたします。
 この度の請願書では、現在、県内には中西部に3箇所のホスピス・緩和ケア病棟があるが、県東部には厚生労働省の設置基準に基づき県の認可を受けた施設はないことから、周南地域の中で、交通の便、環境の良さ、また、地域に密着した公的医療機関である等の理由で、光市立病院の名前が挙がりました。
 この先の高齢化社会、これまでに経験したことのない社会の中に、行政は確かな洞察力を持ちながら、あらゆる分野で新たな展開をしていくという課題があります。2000年4月に、日本ではようやく介護保険の制度がスタートいたしました。各地で、順調な滑り出しとはとても言えず、多くの矛盾や問題が噴出しているものの、時代の変化に伴い、家庭が、家族が、高齢者介護の全てを引き受けるのは無理であることを自明にしたという点では、画期的な政策転換であったと言えますし、住民ニーズの点からも評価できるところと言えます。と同様に、ホスピスケアは、間違いなく、これからの時代に必要な医療であり、福祉であると言えるのではないでしょうか。
 合併論議の中でも、2つの病院について様々な議論が交わされ、この請願につきましても、環境民生委員会並びに合併法定協で、「設置の需要はあるが、施設基準や財源問題について早急にはなかなか難しい。しかし、中長期的には努力をしていきたい」とのお答えをいただいているところでございます。その御返答に緩和ケア病棟設置の実現を将来につなげる中で、請願を出されました周南いのちを考える会の皆さん方、いわゆる住民の中から沸き上がった力についてはどうお考えでしょうか。現在はケア病棟設置に向けて活動をされていますが、将来的には、地域医療・福祉の運営を支えるボランティアのネットワークとして、安心・安全のまちづくりを支える力になっていくことを目指されておられます。住民主導のまちづくりが求められる現在に、このマンパワーは得難いものであるというふうに考えられますが、この点だけ、御所見をお伺いいたします。
 以上で壇上での質問を終わります。

33 : ◯市立病院事務局長(田中  修君)
次に、3点目、「支える医療」「見放さない医療」住民参加のホスピスの1番目、緩和ケアの専門医と一般の医師との違いについてでございます。
 緩和ケア診療加算に関する施設基準では、医師2名、看護師1名の計3名からなる緩和ケアに関わる専従のチームが設置されていることが条件であり、医師2名のうちの1名は、身体症状の緩和を担当する常勤の医師であって、かつ悪性腫瘍患者又は後天性免疫不全症候群の患者を対象とした症状緩和治療を主たる業務とした、3年以上の経験を有する医師であること。そして、もう1名の医師は、精神的症状の緩和を担当する常勤の医師であって、3年以上の癌専門病院又は一般病院での精神医療に従事した経験を有する医師であることと規定されております。
 次に、3点目の2番目、ボランティアの活用についてでございますが、現在、当院におきましては、患者さんの再来機による予約受付、院内の鉢物の水やり、図書の整理等、総勢20名近くのボランティアの方々が御活躍されておられます。これからも、文字どおり、市民のための病院として運営していく上では、ますますボランティアの方々によります御支援、御協力をいただく必要があると思っております。
 以上、御理解を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
◯2番(森重 明美君)
最後に、「支える医療」、ホスピスケアでございますけども、実は、この終末医療につきましては、この度の通常国会、参議院でも、この終末医療の問題は代表質問に出ておりました。また、この度の山口県議会の一般質問、また代表質問等にも、山口県東部にぜひともそういう緩和ケアをという質問があったそうでございます。
 「がんサバイバー」という言葉がありますけども、生還者という意味ですけど、自らの癌体験を基に新たな癌患者の力になっていく人々のことをそういうふうに呼ぶそうでございます。癌を体験し、また、今も癌とのつき合いが終わらない中で、医療現場の実態、また体験や医療の在り方を今後のために伝えていこうとする、そういうボランティアの方々が今回請願を出された周南いのちを考える会の皆さん方だと思います。御家族の方もいらっしゃいますし、この間お会いいたしましたら、非常に若い方もいらっしゃるし、様々な方がそういう非常に高いところのものを、人生を考えられてつくっておられる会というふうに拝見しましたけども。やはりこういう方々の思いというのは、非常に本物であるし、こうしてほしい、ああしてほしいという要望の段階ではなくて、誰のためではなく、皆さんのためにこうでなくてはいけないんだということを、すごい強い思いで伝えておられるというふうに感じます。そういう強い思いが大きな力となって、地域を非常に大きく動かしていくし、また、福祉をも動かしていくというふうに感じております。行政主導ではない、市民のための、市民によるホスピス整備をという、そういう、最終的には、ボランティア活動を目指しておられるわけです。
 このような力は、これからのまちづくりのパートナーシップとして、ぜひ注目をしてほしいし、また、取り入れていただきたいし、活躍できる場をぜひ提供していっていただきたい。こういう力というのは、やはりつくろうと思ってもつくれるものではありませんし、行政がつくるわけでもないです。また、お金を出せばできるかという、そういうふうなものでもないと思います。今からの地域医療、また、これからの非常に厳しい財政の中での運営をしていく行政にとっては、このようなマンパワーといいますか、本当に必死になって頑張っていこうと思われるそういう力をどのように活用していくか、どのように活かしていくかという、この部分を十分にこれからの市政というものに活かしていく方向というものをぜひともお考えいただきたいと思います。
 2点、質問をお願いいたします。


2003.12.17

平成15年第6回定例会(第4日目)本文 
  ◯8番(今村 鐵雄君)
◯8番(今村 鐵雄君) 
 次に、平成15年請願第2号、緩和ケア病棟についての請願書を議題とし、紹介議員より説明を受けた後、委員より質疑がありました。主なものについて申し上げます。
 1、病院内においてどのような整備が必要なのか。2、県内3カ所とはどこなのか、との問いに対し、1点目、厚生労働省の設置基準として数項目条件が付与されている。1、病棟単位で行うこと。2、看護師の数が患者1.5人に1人であること。3、常勤医師体制があること。4、病室が8平方メートル以上、患者1人につき病棟の床面積が30平方メートル以上あることなど十分な整備がなされていること。5、医療機能評価を受けていること、などの整備が必要である。2点目、宇部市国立山陽病院25床、下関市安岡病院25床、山口市赤十字病院25床であるとの回答があり、討論はなく、採決の結果、全会一致で採択すべきものと決しました。
2003.12.02

平成15年第6回定例会(第1日目)本文 
  ◯2番(森重 明美君)
◯2番(森重 明美君) 
それでは、平成15年請願第2号につきまして、既に皆様方のお手元に請願をお配りしてあるかと思いますが、緩和ケア病棟の設置に関する請願について、紹介議員の一人として、趣旨を説明いたします。
 日本では、1年間に癌と診断される人は約50万人、癌闘病中の人は約300万人。県内でも、毎年約4,400人の人が癌で死亡しています。
 癌患者にとって、末期癌の痛みとそれに伴う心身的苦痛は想像を絶するものがあります。厚生労働大臣所定の設置基準に基づき都道府県知事が承認したホスピス・緩和ケア病棟では、専門医師をはじめとする総合スタッフによる痛みのコントロール、諸症状の軽減、そして、患者や家族の精神的苦痛を和らげるための質の高いケアが提供されています。患者にとっては、家にいるときと同じように十分自分らしく最後まで生きる場所であり、専門家やボランティアが周りにいて、何か必要があるときにはいつでもサポートを受けることのできる場所といえます。
 また、地域にこのような施設があれば、在宅での療養も可能となります。現在、県内には、中西部に3カ所のホスピス・緩和ケア病棟がありますが、県東部には認可を受けた施設はありません。人間がより人間らしく人生を締めくくることができる施設を希望する多くの皆さんの声をお届けいたしまして、光市立病院へ厚生労働省の設置基準に基づく県の承認を受けた緩和ケア病棟の設置を請願するものでございます。
 請願者は、NPO法人周南いのちを考える会代表前川育さんでございます。
 以上、御提案申し上げますので、御賛同いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 終わります。
2002.09.17

平成14年第4回定例会(第4日目) 本文
  ◯6番(縄重  進君)
  ◯市長(末岡 泰義君)
  ◯6番(縄重  進君)
104 : ◯6番(縄重  進君)
3つ目に、ホスピスについてであります。
 世の中にはだまされやすいものが3つあると言われております。1つ目は女性の涙、2つ目は新聞社の方がいらっしゃいますので言いませんが、3つ目は各種統計数字と言われます。イギリスの作家サマセット・モームは「絶対間違いない統計は人間の死亡率が100%である」ということであります。火事の発生率は少ないにも拘わらず火災訓練は毎年行っているのに、確率100%の死についての準備が全くなされていないのは不可解なことであるという人もおられます。こういう状況の中、命の大切さを感じながら、地域に緩和ケア病棟の建設を願い学習会を開催している会の活動も始まっているところであります。淀川キリスト教病院の副医院長・ホスピス長・柏木哲夫先生の講演記録を読んでみますと、次のように書かれております。「ある言葉がどのレベルまで浸透しているかを知るには、タクシーの運転手に質問をしてみるのが一番手っ取り早いと言われております。岡山で、タクシーの運転手にホスピスについて聞いてみたら、『新手のホステスさんですか』と言われた。ホスピスもホステスも親切にもてなすという意味では、語源は同じであり、ホスピスは、中世に、巡礼者の宿を提供したのが始まりである。ホスピスは、時代により対象が変わり、らい病者、次いで結核患者をケアしてきたが、近代的には末期癌患者をケアするところを言い、1967年、イギリスにセント・クリストファーズ・ホスピスができて、世界的に注目されるようになった。アメリカでは、最近、エイズ患者専門のホスピスも現れ、ホスピスの対象範囲が拡大している」。
 さて、翻って光市立病院の現状は、入院患者の大きな減少に直面しております。加えて、来年から、健康保険法の改正により、本人の負担額の増額により受診者数の減少が予想され、何らかの特徴ある新規事業を計画していかねば、病院間の競争で勝ち残ることが困難であると危機感を強めておられる市立病院の関係者もおられます。その新規事業の一つとして可能性があるのがホスピス事業、緩和ケア病棟であると思っております。先ほど延べました地域の勉強会での盛り上がり、市立病院内の熱心な医師の存在、そして特色のある病院への転換の必要性、これは、ホスピス事業の推進に当たって大きな力になり得るし、そうしなければならないと思います。機は熟しました。どのようにお考えか、当局の御見解をお願いいたします。

106 : ◯市長(末岡 泰義君)
それから、3番目のホスピスについてであります。
 まず最初に、緩和ケア病棟、いわゆるホスピスの設置状況についてでありますけれど、緩和ケア病棟が日本に誕生して21年が経過いたしたと理解をいたしておるところであります。設置状況は、平成13年5月現在、全国で87施設1,614床となっており、山口県では、3施設75床で、東部地区には設置されていないのが現状であります。
 では、このような設置が進まないことの理由は何なのかということを考えてみました。まず第1点は、療養を行うための十分な医師や看護師等の人員体制の整備が必要であること。また、2点目に、特別な療養環境の提供に係る病室等の構造設備の整備が要るというようなこと。さらには、3つ目に、財団法人日本医療機能評価機構などが行う医療機能評価認定を受けていること等の設置基準をクリアしなければならないという問題。また、病院経営そのものというような問題に直面をしているような問題。4つ大きな問題としてあるのかなと、これは私自身の考えでありますが、そういうことが設置が進まない理由かなと思っておるところであります。
 しかしながら、先般、NPO法人周南いのちを考える会の皆さんが、2万5,500人に上る署名を添えて、知事に東部地区への設置を要請されたところでありまして、私自身も、きょうも傍聴においででございますけど、会の皆さんと懇談をさせていただいたこともあるわけであります。その折、私の父の話もいたしました。私の経験からしても、終末期の患者さんの痛みを緩和し、残された時間を家族や友人らと過ごし、最後まで人間らしく生きることのできる、こうした皆さんが御提案のホスピスの設置が必要であることは十分理解、認識をいたしておるところであります。
 しかしながら、現在、国におきまして医療制度改革が進められており、少し医療制度の先行きが不透明な面もあって、病院経営がいずれも困難を極めているような状況もございます。こうした状況は、自治体病院の役割や使命といった地域医療の根幹を揺るがしかねない重要な課題であると強く認識しておるところであり、現在、私は、全国自治体病院開設者協議会の経営改善委員会の委員長として、これらの自治体病院の在り方等について、全国の有識者の方と議論を重ねております。ホスピスにつきましても、これらの検討状況も踏まえるとともに、現在進めております大和町との合併という協議が始まるとすれば、議会でも御懸念のように、公立病院が2つになるわけでありますから、役割・機能分担等の在り方等も踏まえつつ、皆様方と議論もし、今後、広域的な地域医療体制の整備の観点から可能性を探っていくことができるかなというような思いで一杯であります。御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 以上です。

◯6番(縄重  進君)
それから、ホスピスについてでございますが、緩和ケア病棟の必要性についてちょっとまた述べさせていただきますが、御存じとは思いますが、各種の死亡率統計によると、総死亡者の3人に1人が癌で亡くなっており、21世紀を迎え、癌による死亡者数はますます増加するのが予測されます。特に、肺癌、大腸癌、前立腺癌などは高齢者人口の増加とともに倍増することが予測されます。光市立病院においても、外科・内科を中心に、癌による死亡者は年間65人と聞いております。全疾患死亡者の約32%を占めているということです。癌死亡者の平均家族が5人とすると、年間300人の方が市立病院の治療に心から満足するか死かなので、病院の評価に大きく関係してくることになるわけです。癌患者は誰しも最善の治療を受け完全に治癒したいという願いがありますが、不幸にして治癒が不可能な場合も数多くあるわけです。その場合は、より自分らしい生きかたを願うものであり、それをサポートするケアも治癒と同じぐらい重要であり、両者は車の両輪のようなもので、癌と診断された初期の時点から包括的に考えなければならない。山口市民を対象に行った意識調査によると、もし癌で治癒が望めない状況になった場合はどこで最後を迎えたいかという質問に対し、「自宅で最後を迎えたい」が40%、「ホスピス等の病院で」40%、「かかりつけの病院で」20%となっております。市立病院は幸いに自然環境に恵まれた立地条件であり、山口県東部の地域には全くホスピスの病棟がなく、患者の家族が24時間中訪問でき、自分らしく最後を迎える環境を希望するであろうと考えられます。市立病院は山口県下で一番の癌治療センターを目指すことは無理であっても、地域の種々の住民サービスとしての癌のケアセンターを目指すことは可能であろうかと思います。今後の市立病院が病院間の競争に打ち勝つためにも、前向きの検討をされるよう強く要望をしておきます。

2001.12.07
平成13年第5回定例会(第3日目) 本文  
  ◯6番(縄重  進君)
  ◯市立病院事務局長(南  秀男君)
80 : ◯6番(縄重  進君)
3点目に、ホスピス緩和ケア病棟設置についてでございます。
 現在、癌で亡くなる人は、年間30万人。我が国の死亡原因の第1位。総死亡者3人に1人の割合であります。しかも、今後も、癌で亡くなる人は増加の一途をたどると言われております。一時も早く癌治療の確立を願うばかりであります。この癌は、いつ自分の家族に降りかかってくるかも分かりません。どうしてよいか分からず、もしそうなったときの不安やおそれは想像もできませんが、どうしてよいか分からずにただ右往左往するだけでありましょう。そうならないためにも、健康なうちに死や終末期の過ごし方について考え、対策を講じることができれば良いと思うのであります。最近、こうした考えの下、「周南地区にホスピスを」ということで、市民運動が展開されております。不幸にして癌で身内を亡くされた方々が中心となって設立された団体で、人生最後のときを自分らしくいくために、緩和ケアと言われるホスピスが必要であり、山口県下では、東部にはまだ設置されていないため、ぜひ周南地区に設置してほしいと訴えておられます。私もこの趣旨に賛同する1人であり、もし自分が癌にかかり治療することが困難であると分かったときには、自然環境に恵まれ、家族が訪問するにも便利な立地条件、その上、厳しい痛みや苦しみ等について対応が整っている市立病院に入院したいと思うのでありますが、このホスピスについての御見解をお示しください。

 86 : ◯市立病院事務局長(南  秀男君)
3番目の御質問にお答えいたします。
 当院におきましては、癌で亡くなられた患者さんは、平成10年と11年の統計によりますと、年間で約65人、全疾患死亡者の32%を占めております。全国数値と同様に、これからも増える傾向が伺えます。癌治療に関しましては、不幸にして治癒が不可能なケースでは、肉体的な苦痛の緩和、精神的な不安の緩和を主眼に、日常生活への援助、家族への援助を行い、患者の限られた時間をいかに有意義に過ごしていただくかを医療チームが一丸となって考え支える緩和ケアの必要性が求められております。当院では、既に、こうした患者さんに対して、生活の質を向上させることを考慮した上で、緩和治療に努めているところでございます。御質問の御趣旨であります病棟の設置につきましては、国が定めた施設基準、承認基準のクリアのための改築、改造の費用の検討もさることながら、現在の許可病床数の減少のことや、緩和ケア病棟となりますとチームスタッフの確保など、多くのハードルをクリアしなければなりません。現在、国におきまして審議されている医療制度改革との関係も注視しながら、併せて検討する必要があり、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

2001.06.14

平成13年第2回定例会(第2日目)本文 
   ◯2番(磯部 登志恵君)
   ◯市立病院事務局長(南  秀男君)
112 : ◯2番(磯部 登志恵君)
2点目の緩和的医療の取組みとして。
 パリアティブ・ケア−緩和的医療とは治癒を目的とした治療に反応しなくなった患者様に対して行われる、積極的で全体的な医療、看護です。痛みや痛み以外の諸症状のコントロール、心理的苦痛の除去を目的として、医師、看護婦、薬剤師、カウンセラーが共同してカンファレンスを行いながらケアするものです。これからこのパリアティブ・ケア−緩和的医療というのは非常に注目される問題だと思いますが、光市立病院でも、緩和的医療について様々な勉強会等、様々な分野で検討しているとお聞きいたしましたが、詳しくお聞かせいただきたいと思います。

116 : ◯市立病院事務局長(南  秀男君)
次に、2点目の緩和医療の取組みについてでございますが、最近、我が国では緩和医療への関心が特に高まってきております。その理由として、医療情報の普及、高齢化社会の進展、脳死、臓器移植議論等の影響も少なからず作用しているのではないかと言われております。
 死の看取りは、1960年代までは特別な注目を集めることはありませんでしたが、近年のガンの増加をはじめとする疾病構造の変化、生命維持技術の進歩に伴って、痛みを伴う末期状態や治る見込みのない植物状態における末期医療のあり方に関する問題が起こっております。
 また、地域においても、周南地区にホスピス、緩和ケア病棟の設置を呼びかける市民運動が展開されております。こうした医療需要や状況を踏まえ、当院としても、自治体病院の使命を果たすためにどうすべきかといった観点から、院内の会議において研究、検討を進めているところでございます。
 その中では、ハードウエアの整備については病室等の基準というものがあり、それをクリアするために多額の経費を要することや、全体の病床数を変更する必要のあることから、一朝一夕に解決するまでには至りませんが、現状の中で、末期患者に対する身体的、精神的な苦痛を緩和しながら、精神的な面を中心に患者のケアを行い、残された人生の生活の質を重視する医療に力を注ぐということにしております。
 その際、当院のスタッフだけでは限界もあり、ボランティアの方々との連携下により、充実したケアができないものか目下検討しているところでございます。
 以上、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。

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