2005年6月18日(土)・19日(日)
第13回 日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会in広島
   寄り添う心 わかち合う心
           〜私はあなたを一人にしない〜

こども共育部会に参加して

樫田恭子

こ ども共育部会のテーマは、「がんで親を亡くした子供たちのメッセージから、彼らとの関りについて学ぶ」だった。親の病気を知らされた子どもがどのような気持ちになり、どんなことを考えるのか、とても興味深いテーマだったので参加することにした。
話は、"親を亡くした子どもの立場から"ということで3名の「元子ども」であった方の話から始まった。0さんは、母親が入院し親戚や周囲の大人たちの様子が変であることに何となく気づきながらも、当時小学生だったのでまさか母親が死ぬとは思っていなかったそうである。母親の死に大きなショックを受けた。子どもだからと自分だけ蚊帳の外に置かれ何も知らされず、その結果母親に何もしてあげられなかった自分に後悔していると語った。
母親の死をきっかけに看護師を目指したKさんは、母親の存在の大きさ、自分達こどもに残してくれた優しさ、あまりにも早かった別れの悲しみについて話した。長女として母親の代わりにきょうだいの世話や家事を頑張ってきたそうである。自分に置き換えて聴く人、自らの体験を思い出す人、Kさんに共感し様々な思いに包まれた会場はハンカチで目頭を押さえる人でいっぱいになった。
話を聞きながら、子どもにとっていかに親の存在が大きいかを改めて感じた。私は、8年前に母が入院すると聞いた日、突然の出来事に不安でいっぱいになった。母にはその不安は話せないし父親も動転しているようだし、誰に何を相談し自分が娘として何をするべきか分からなかった。幸い無事に退院し健康を取り戻したが、子どもが親の病気で想像していた以上の不安を抱くことを経験した。
会の最後は、がんで親を亡くした子どもたちには様々な場面でサポートが必要であると締めくくった。「あしなが育英会」は、親を亡くした子ども達のためのキャンプがあり、同じ経験をした人が自分以外にもいると知ることだけでも楽になると紹介した。3人に1人ががんで亡くなる時代、親が病気になる子、親を亡くす子どもはこれからもいるだろう。多くの人が親をがんで亡くした子どもの経験に耳を傾け、何が出来るかを考えた有意義な分科会であった。


今年の日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会は、広島市で開催されました。
前川代表は、運営委員としてかかわり、「市民部会 わたし発、医療の明日へ」を担当し、一人暮らし方の終末期をボランティアとして支えた体験を話し、たくさんの反響を呼びました。
会からは、13名の方が参加し、講演・シンポジウムなどそれぞれ興味・関心のあるところに行き、さまざまなことに思いをはせ、考え学んだ2日間でした。

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NPO法人 周南いのちを考える会