2002年7月5日発行 第6号より
S さんを悼む
前川 育

 「私達の街にホスピス・緩和ケア病棟を」と心から願い、積極的な考えで会を支えて下さったSさんが亡くなられ、先日49日の法要が営まれました。残された5人のお子様は、しっかりお母様の死を受け止められているご様子です。Sさんと知り合って一年、多くのことを彼女から学びました。困難に立ち向かう勇気・冷静な判断・人に対する優しさ・誠意………。

 50才という若さで逝ってしまったSさんですが、最期の1年はこの会のために尽くしてくださったような気がします。ガンの転移にも負けず、ラ・ビューの集い(患者の会)では患者として、また良きアドバイサーとして、常に前向きな考え方で会の中心的存在でした。つらい闘病生活であったはずですがそんな様子は全く見せず、いつも落ち着いた雰囲気で何かと相談にのっていただいていました。

 昨年の夏、「是非NPO法人を取りたいね。」「署名も集めようよ。」と熱心に語っていたSさんの顔が思い出されます。NPO法人の認証を受け、署名活動を展開中の今、共に喜びをわかちあえることが出来たら、どんなに嬉しいかと無念の思いです。

 2月に私が「患者の立場から」という題でパネラーとして話す機会があり、この日、緩和ケア病棟に入院中のSさんが聞きに来てくれました。この頃、体調はあまりすぐれなかったはずです。3月30日の高橋ユリカさんの講演会にも苦しい中、聞きに来てもらっています。

 5月11日、再入院中のSさんへ「署名活動、今日から始まったよ」との伝言をお願いしました。5月14日、亡くなる少し前に「今までたくさん助けてもらってありがとう。」とお礼を言いました。
あれから2ヶ月、またあの笑顔に会えるような気がして、現実感はありません。病気と闘いながらホスピス実現を真剣に考えて下さったSさんの存在を忘れることなく、患者・家族のための活動を皆様とご一緒に続けていきたいと考えています。


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NPO法人 周南いのちを考える会