2010年2月5日発行 第31号会報記事

〜自分の価値観にしばられない〜
                             前川 育


昨年秋、長女が第一子を出産しました。生まれるまでは、赤ちゃんがアレルギー体質にならないように食事に気をつけ、毎日1時間余りの散歩をするなど、教科書通りの模範的な生活をしていました。
孫の顔と白目が黄色いので気になっていましたが、日本人の赤ちゃんの90%以上に、生後2〜4日ごろから黄疸が現れ、1週間をピークに消失するそうです。長女は、「母乳性黄疸だから、そのうち治る」とのんきに構えています。
眉間にしわを寄せた顔が、気になっていました。生後1か月半、2週間ぶりに長女と孫に会った時には、孫は眠りが浅く8時間泣き続けており、長女は睡眠不足で憔悴しきっています。泣き方と表情が、普通ではないと感じ、小児科を受診させましたが、「母乳性黄疸だから、大丈夫」とのこと。
でも、何か気になり、「思い切って、ミルクにしてみる?」と勧め、長女は母乳を止める決心をしました。
自治体や病院の母親教室では、「赤ちゃんを育てるには母乳が良い。母乳で育てましょう」と妊産婦に伝えます。病院によっては、「出なくてもオッパイを吸わせていれば、必ず出ますよ」とも。

孫は、世の中の苦しみを一身に背負ったような気難しい顔をしていましたが、ミルク生活が始まると、可愛い表情になって女の子らしくなりました。あれから2カ月、今ではよく眠りキャッキャッと声を出して笑っています。
赤ちゃんは、「しんどい・痒い・苦しい」などが言えないので、母乳性黄疸の辛さが、周りの大人や小児科医には伝わらないだけかもしれません。医学では解明できていない何かがあるのかもしれません。

今回の母乳騒動で、長女は「自分の知識や価値観にしばられていた」ことを実感したそうです。「あのまま、母乳にこだわっていたら、どうなっていたことか」とも。 
子育てのスタート地点で、「物事に絶対はない」とわかったことは、これから子育てをしていく上で、良い経験になったと思います。