2011年3月30日発行 第34号より
ホスピスのこころ
 前川 育

2011311日は、日本人にとって忘れられない日、そして忘れてはいけない日になりました。東北・関東地方を襲った、大地震・大津波・原発事故。自然の猛威の前、人間は何と無力なことか。

ご家族を亡くされた方・家が津波で流された方におかけする言葉がみつかりません。今、私たちはテレビにくぎ付けになり、災害にあわれた方々に思いを馳せています。

雪のちらつく寒い中での不自由な避難所生活は、どんなにか大変なことでしょう。日を追って、具体的な映像が出るようになり、胸が痛みます。3人の幼い子どもさんを亡くされた方の映像に、おもわず涙が出ました。

しかし、その悲しみ・狂いそうなお気持ちのすべてを理解できるわけではありません。悲しみ・苦しみを想像することしかできません。

そんなことを考えていると、がん患者さんも同じかもしれないと思えます。苦しんでいるその人には、なれないのです。私たちにできるのは、「辛い気持ち」に、そっと寄り添うこと。

 

 原発の事故では、日本各地から消防署員や警察官が駆け付け、危険な作業をしています。復旧作業中に被曝された作業員もおられます。

医療者も被災現場に駆けつけています。大手企業や個人は義援金を寄付しています。

 

 今、日本中の人が優しくなっています。心が1つになり、何か役に立ちたいと考えている人が大半ではないでしょうか。これこそがホスピスの心だと思います。

私たちは、困っている人・辛い人・病める人にそっと寄り添うホスピスの心を、いつまでも忘れないでいたいものです。

今回の大災害をいつまでも忘れることなく、優しい心を忘れることなく生きていきたいと思っています。

 亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、1日も早く復旧し、日常生活に戻ることができますよう、お祈りしています。


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NPO法人 周南いのちを考える会