会報記事 2012年1月17日発行 第36号

「乳がん検診を受けていますか?」

    〜乳がんからあなた自身を、そして大切な家族を守りましょう〜


                           
 

             嶋田敬子

                    診療放射線技師
(マンモグラフィ精度管理中央委員会認定技師)

 

 現在日本人女性は、一生のうち16人に1人が乳がんに罹るといわれています。ここ30年、乳がんの急激な増加は、食生活やライフスタイルの変化が女性ホルモンの分泌に大きく影響しているためとみられています。年間5万人以上の方が乳がんと診断され、今では女性が罹るがんの中で最も多いがんとなりました。

 

 また死亡者数も年々増加し、昨年は12千人以上の方が、乳がんで亡くなられています。しかも壮年層(3064歳)では、がん死亡原因のトップになっています。他のがんが年齢とともに罹患率が増加するのに対し、日本人女性の乳がんには特徴があり、罹りやすい年齢があります。30代から増え始め40代後半に最も多くなります。

 

 他のがんに比べ若い世代の方が罹り死亡されている乳がんですが、早期に発見し治療をすれば、より高い確率で治すことができるのも乳がんの特徴です。そして早期発見のためには、何より検診が大切です。

 

 「乳がん検診」必要なのは分かっているけども、私は大丈夫だから、見つかったら恐いから、恥ずかしいからなどを理由に、なかなか受診率は向上しません。仕事上、もう少し早く受診されていたらと思うことが度々あり胸が詰まります。反対に、検診を定期的に受けられていたから、しこりを手で触れないような小さながんが早期に発見され、治療ができた受診者の方もいらっしゃいます。

受診をされたことがない方は、まず勇気を持って乳がん検診を受けてみましょう。ほとんどの方が思ったより簡単だった、と言われています。そして受診されたことがある方は、継続しての受診をお薦めします。よく乳がん検診を受けたから当分は大丈夫と言われる方もいらっしゃいますが、そうではありません。

40歳以上の方でしたら、市町村の保健センターから乳がん検診の案内が届いていると思いますので、ぜひ利用してみて下さい。

 

 また検診を受けたから100%大丈夫というものではなく、どうしても分からないがんや、検診と検診の間に急に大きくなるがんもあります。自己検診の習慣を身につけることも大切です。乳がんは体の表面に近いところにできるため、自分でも発見できるがんです。触ってもよく分からないからと言われますが、習慣を身につけることでちょっとした変化に気づくことができるのも、自分自身の体だからです。

 

乳がんの診断のためには、精密検査が必要になります。乳がん検診で異常を指摘された方、自分で異常に気づかれた方は、必ず医療機関を受診しましょう。この仕事に携わる中で、いつも気になっていることがあります。精密検査で異常がないと診断された方はよいのですが、そうではない方のことです。

検診で異常を指摘されても医療機関を受診していない方や、せっかく医療機関を受診しても、次の受診(1ヶ月後や3ヶ月後の再診)をしていない方がよくいらっしゃいます。受診しないことでがんの発見が遅れる可能性があり、とても心配になります。自覚症状がないから大丈夫と自己判断されず、必ず医療機関で受診しましょう。

 

最後に、乳がんは誰でもなる可能性があります。子供のことや家庭のことが一番で、自分のことは後回しの女性の方、あなたが自分自身を守ることは、大切な家族を守ることになります。

まずは自分の体に向き合ってみませんか。そして、その第一歩のお手伝いができたらと願っています。