2013年4月24日発行 第40号より

目次

はじめに          32年が過ぎて
ホスピス見学のご報告    ホスピス見学のご報告
本の紹介 『置かれた場所で咲きなさい』
『末期がん、その不安と怖れがなくなる日』
インフォメーション     他団体の全国大会のご案内
お知らせ


32年が過ぎて
 前川 育

 長男が急性骨髄性白血病のため亡くなって32年、今年は33回忌です。
何年経っても、忘れることができないものですね。
「何事にも意味がある」の通り、長男の死によって私の生き方、考え方が大きく変わりました。おそらく長男が元気で成人していたら、今のような生き方はできていないと思います。
いのちについて考える活動、がん医療・がん患者さんのための活動、これらは、長男からもらったプレゼントだと思っています。「幼い時に亡くなった長男のためにも、母は頑張るよ・・・・・」の心境です。
 
 長男に会えなくなって30年ですが、最近は、「来世があるなら、会える日が近くなってきた」と、待ち遠しい気持ちになってきました。
ただし、その時が来るまでは、一生懸命生きて、恥じない生き方をして、人生を全うします♪      

 そして、笑顔で会える日を楽しみにしています。
                                  
           

 笑顔で会える日のために

今、出来ること、今、するべきことは、先延ばしにしないで生きたい

今日が人生の最期の日かもしれないと思いながら、丁寧に生きたい

今の一瞬を大切に愛おしく感じながら、生きたい

今日会った人の幸せを祈って、生きたい

今日も、良い日だったと思える1日を過ごし、1日を終えたい

そんな日々を過ごし、いつか笑顔で会える日が来るといいな


ホスピス見学のご報告

理念は、「家族、仲間とともに生きる癒しと希望の病院」

2月11日(祝)に、新大阪駅近くにある「淀川キリスト教病院のホスピス・こどもホスピス病院」を見学させていただきました。

 岩国医療センターに緩和ケア病棟が開設されます。ちょうど良い機会なのでホスピス見学にお誘いしました。病院から4名、会から9名、総勢13名での見学です。日本で2番目に開設されたホスピスで、歴史あるホスピスです。

こどもホスピスは12床あり、小児がんと難病の子どもさんが対象だそうです。15歳以下の子どもたちが、希望を持ちながら治療を受けることができます。
成人用は15床で、末期がんなどで治癒の望めない患者さんの身体的苦痛や精神的不安を緩和する施設です。医療型こどもホスピスは日本初だそうです。

 11時過ぎに5階建てのホスピスに到着、副院長の池永先生のご好意で病院食をいただくことができました。ホスピスの職員も利用できるそうです。病院食とは思えない家庭的で美味しいランチでした。週に1度、食べたいものをリクエストできる日があるそうです。すき焼きでも何でも・・・・・・・。

 各部屋には名札はなく、自分の気に入った手作り照明が表札代わり、とても
素敵でした。
           
  (玄関ロビーにあるチャペル)   (各部屋入口の照明)
1階は、チャペル・外来・リハビリテーション室
2階は、こどもホスピス病棟・デイルーム・プレイルーム
3階は、イベントホールやプラネタリウム
4階は、永遠に続くいのちを大切にする成人のホスピス病棟
5階は、ベッドのまま外に出ることのできるスカイガーデンとカフェコーナー

           
   (こどもホスピス病棟受付)      (こどもホスピス・病室)
 私たちが、食後のコーヒーを頂いている時に、車椅子の患者さんがこられました。池永先生が自然に素早く車椅子の患者さんの元へ行かれ、穏やかな表情で対応されている様子を見て、ホスピスケアの真髄を私は見ました。
(ホスピスと緩和ケア病棟は同義語と言われています)
淀川キリスト教病院は、がん患者にとって大阪市の最後の砦と言われているそうです。                         (文責まえかわ)

               (池永医師)



本のご紹介
     
『置かれた場所で咲きなさい』  渡辺和子 幻冬舎(952円+税)
36才でノートルダム清心女子大学学長になった渡辺さんは、現在85歳です。
私たちの日常は、平安な日々ばかりではありません。こころの中に吹く嵐に折れそうになることもあります。そんな時に、前を向いて進む気力が湧いてくる本だと思います。(見出しを抜き書きしておきます)

どんなところに置かれても 花を咲かせる心を 持ち続けよう。
   境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。
   「現在」というかけがえのない時間を精一杯生きよう。

まず考え、次に感じ、その後に行動する。
   考えるということは、自分と対話すること。
   自分自身に語りかけ、次の行動をきめなさい。

いい出会いをするためには、自分が苦労をして出会いを育てなければならない。
   出会っただけでは信頼関係を結べない。
   「ご縁を大事にしよう」という気持ちを育てていこう。

何もできなくていい。ただ笑顔でいよう。
   笑顔でいると、不思議と何事もうまくいく。
   ほほえまれた相手も、自分も心豊かになれるから。

"あなたが大切だ"と誰かに言ってもらえるだけで、生きてゆける。
   人は皆、愛情に飢えている。存在を認められるだけで、人はもっと強く
なれる。

希望には叶わないものがあるが、大切なのは 希望を持ち続けること。
   希望の喪失は、生きる力の喪失でもある。心の支えがあれば、
   どんなつらい状況でも耐え抜くことができる。
がん哲学外来から見えてきたもの『末期がん、その不安と怖れがなくなる日』樋野興夫(順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授) 主婦の友社(762円+税)
人間関係の悩みは病気の人も健康な人も同じ。
   がんという病気、「死」に関する悩み(恐怖)(治療経過)(痛み)が
  一つ目の悩みですが、二つ目は、家族との人間関係。三つ目、職場の人間関係だそうです。がんを経験したことのない人は、がんの患者さんに対し、一つ目の闘病の悩みだけだろうと思うようです。しかし、実際には人間関係の悩みが大きい。
  つまり、人間関係は病気の有無に関係ないということですね。
死は敗北ではない。
人生の目的は「品性の完成」。
死という大事な仕事が残っている。
   この言葉を聞いたあるがんの患者さんは、しばらく静かに考え、頭をあげ「分かりました。やってみます」と晴れやかに、きりっとしまった表情で答えられた。
人は「暇げ」な人に心を開く
   樋野先生は、がんの患者さんと接するときに大事にしているのは「暇げな風貌」でいるとのこと。この人なら、話を聞いてくれるかもと思ってもらえるように・・・・。
「お見舞いの言葉は、きれいごとよりも誠実な言葉」
大病という特別のケースに慣れていないと、「きれいごと」を並べてしま うことがあるので、自分の気持ちを素直に伝えることが大切。
?日常生活にも役に立つ生き方を学べる本でした。
              




インフォメーション

今年度の、他団体の全国大会のお知らせです。

   第21回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会in長崎
日時:2013年7月6日(土)〜7日(日)
場所:長崎ブリックホール(長崎市)
問い合わせ先:長崎在宅Drネット事務局内  095-811−5121
       





        第37回日本死の臨床研究会年次大会
日時:2013年11月2日(土)〜3日(日)
会場:くにびきメッセ(島根県松江市)
問い合わせ先:690―8509 島根県松江市乃白町32−1
              松江市立病院総務課 佐々木さん 
              TEL  0852−60−8000

☆きららサロン便り☆
・山口県立総合医療センター内、がんの患者さんとご家族のための「きららサロン」は、昨年の9月で3年になりました。
・この度、病院スタッフのご尽力により、3周年記念誌として『がんの患者さんとともに』という冊子を作成していただきました。
 毎週火曜日と金曜日の10:30〜15:00まで2階患者待合室にて、ボランティアスタッフがお待ちしています。

☆ラ・ビューの集い(患者会)☆
がんの患者会です。最初の一歩を踏み出すのに勇気が必要だと思います。
一歩を踏み出して、語り合いましょう!
日時:毎月第2木曜日13:30〜15:30(11月のみ第1木曜日)
場所:スターピアくだまつ 会議室5(2階)
下松市中央町21-1 TEL 0833-41-6800  (ザ・モール周南 横)

☆総会のお知らせ?
 日時:2013年5月18日(土)11:00〜
 場所:スターピアくだまつ会議室2(3階)

☆会費の納入のお願い☆
皆さまからの会費で、会は運営されていますので、今年度もよろしくお願いします。同封の振込用紙は、郵貯のATMからも振込OKです。
<後記>
この4年間、厚労省「がん対策推進協議会」の委員をさせていただきましたが、3月末で任期が終わり、今、ホッとしているところです。学びの多い貴重な経験をさせていただきました(緩和ケア推進検討会構成員は、しばらく続きます)
会の活動には、少し支障がでたかなと思っています。発行の遅れた会報など、この封筒の中に入った諸々のものが物語っていますね。
今年度も、よろしくお願い申し上げます            (まえかわ)


「アフラックはNPO法人周南いのちを考える会の活動を応援しています。」

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NPO法人 周南いのちを考える会