2008年12月4日発行 第28号より
2008年ホスピスケア講座紹介(前半編)

9月、10月、11月の講座が終了し、残り2講座となりました。

「在宅ホスピスのススメ」        9/27

   二ノ坂保喜先生
(医療法人にのさかクリニック院長 福岡市)     

 

 二ノ坂先生は、元病院勤務の外科医です。「にのさかクリニック」は開設から13年目を迎え、これまでに500人を超える患者を自宅で看取られました。

 

講演要旨

「在宅での死は目的ではなく、生活の延長上に訪れる自然な結果である」

在宅での終末期の不安

1.急変への対応 2.家族の介護力不足 3.がんの疼痛管理 

4.死を受け止める心の準備 5.経済的負担

在宅ホスピスは「支えるケア」である

1.            いのちと生活を最後まで支える

    QOLを支える

    生活、人生、いのちをそのまま支える

2.            自己決定を支える

    正しい告知なしには、患者は正しい決定はできない

   患者側=困難な状況を受け入れる

   医療側=深刻な診断を伝える

3.            家族を支える

・息子と娘の言葉「お母さんの世話をするのが喜びです」

4.            スピリチュアリテイを支える

    「何のために生きてきたのだろう ・死んだらどこにいくのだろう」

    共に悩み、受け止める場を作る

5.            地域で支える

・時間軸=歴史・文化    ・空間軸=生活空間

時間と空間を共有するのが地域である

看取りをコミュニティで行うことで、地域コミュニティの意味ができる

在宅ホスピス医をしていて良かったこと

 在宅を選択できる人は、意識がしっかりしている。また、家族関係が良好だから

 在宅ができる。そういう、いい関係の人たちを知り合える。

二ノ坂先生にとって、心に残った言葉

 「先生は、私の最後の友人です」

 

「ターミナルスイッチがONになるとき」

   城仙泰一郎先生
(
パークヒル病院西広島ホスピス緩和ケア病棟センター長)             10/12

 

 冒頭で、「死には、情緒的な死と生理学的(医学的)な死がある」と話され、思わず引き込まれました。世の中には、情緒的な死が表に出てしまっているけれど、死とは大変なものなのですと話され、ホスピス医としての、確固たる信念に敬服いたしました。

 

講演要旨

ある、芸能人の最期「目をかっと見開いて、虚空をつかむようにして亡くなった」と報道されているが、目をかっと見開くのは、感情のなせるわざである。生きることへの未練・死にたくないという気持ちの現われ。

「セデーション(鎮静:薬で眠らせる)をして、感情現象をブロックするべきだったと思う。セデーションをすれば、目を閉じて亡くなられる。ドクターは何をしていたのか、また、これは、緩和ケアではない」「医師に死の準備教育ができていない。まず、今、何をすべきかわかっていない」「大学病院は命を助けることに必死」と明言され、なるほどと心から納得しました。

ホスピス医として感じていること

1.末期でがんが見つかり、手遅れ状態でホスピスに入院した人は、麻薬の使用量が少ない。   

2.がんを抗がん剤などで治療した人のほうが、麻薬の量が多くなる傾向。

3.自分であれば、高齢になってからのがんは、治療しないし、手術もしない。

 

「傍らにいるということ」〜ホスピスケアの本質〜

  石垣靖子先生

東札幌病院:前副院長兼看護部長)
(北海道医療大学大学院教授)  
11/9

 

パールのネックレスとイヤリングがお似合いの、ステキな石垣先生です。

 

講演要旨

初めて見たホスピスでは、患者さんは普通の家で、普通の生活をして普通に生きていた。

    医療者は、患者さんが回復するお手伝いをするだけ。

    医療者は、しばしば、「患者のいのちを助けた」と錯覚をしてしまう。

緩和ケアとは

治癒を目的とした治療に反応しなくなった疾患をもつ患者に対して行われる、積極的で

全体的な医療ケアである。

痛みのコントロール、痛み以外の諸症状のコントロールをする。心理的な苦痛・社会的・スピリチュアルな苦痛を取り除く。

支えと励ましの大切さ

たった一人でも良いから、何でも話せる人がいれば、どんなにいいだろう。

傍らにいること

手などをふれる→コミュニケーションのひとつであり、そのひとにとって、大事なことを伝える媒体になれる。

痛みは他者が決定するものではない

    患者の気持ちがわかるナースに

    「私のように痛みに苦しんでいる多くの患者が、笑顔を取り戻すことができるように、頑張ってください」(ある患者の言葉)

    モルヒネはアスピリンよりも安全

    患者を、我慢する人ではなく、かけがえのない一人の人として看護することが

大切

 

ボランティアについて

・白衣を着た医療者と患者の間の、隙間を埋めてくれる

・病院の中で、普通の市民が参加し、普通の視点で働く存在

          ↓

      それは医療への貢献になる

イラクで亡くなった橋田氏の言葉

「患者の歴史に敬意を抱いて接してくれたら、医療現場は、もっと心地よい場所になる」

今、生きていることは、神様からのプレゼントです

         ↓

        感謝♪

「生きていて何が不足なのだろう」

  生きていることは奇跡です

      ↓

    今を大切に

     I can do We can do

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NPO法人 周南いのちを考える会