2017年4月4日

「NPO法人周南いのちを考える会」解散のお知らせ


 この度、平成29年3月25日に臨時総会を開催し、平成28年度をもって、「NPO法人周南いのちを考える会」の解散を提案し、会員の皆さん全員の了承が得られ、解散の手続きを始めています。

  理事会で解散について提案した時の各理事の意見です。
・一番の要因は、平成28年に代表が神奈川県に転居し、活動が困難になったこと。
・一緒に活動するメンバーはいても、理事や会員さんの中から後継者を育てる
ことができなかった。
・「緩和ケア病棟開設」という初期目的は達成しているのだから、今、自分たちで解散手続きが出来るうちに、きちんと解散しておく方が良いのではないか。
・せっかく今まで続けてきたのだから、解散するのは心残り。
しかし、理事を含め会員さんの高齢化と会員数の減少。
・ホスピスケア講座の参加率の低下。
 (各地で講演会が開かれるようになったことも遠因?)
・がん患者サロンは、今後もボランティアとして継続する。

 臨時総会では、
・いつかは、こういう日が来るとは思っていたが残念。
・「周南いのちを考える会」の存在が、心の支えであった。
・この17年間、いのちについて、がんについて、死生観の確立など、多くの
 ことを学んだことに感謝。
などの意見が出た後、参加者全員が解散賛成の決議となりました。

今後は、解散の登記など法的な解散手続きに入ります。


 これまでの、あゆみ

 がんの痛みを和らげる「緩和ケア病棟」の必要性を痛感していた代表の前川は、2000年に「周南いのちを考える会」の活動を開始。「がん経験者が、山口県東部に緩和ケア病棟開設を願う会を設立」と各新聞に掲載していただきました。その頃は、がんの患者さんは、ある意味、孤立していた時代でした。また、がん情報が少ない時代でした。新聞報道に大きな反響がありました。まず、がんの患者会を自宅で開いたことを、鮮明に思い出します。

 これまでの経過を簡単に書きます。
2001年6月:設立総会と講演会(地域にホスピスをとの熱い思いが、会場に溢れていました)
 JR光駅に近く、虹ケ浜の海の傍の風光明媚な場所、病床数にゆとりのある
「光市立病院」に緩和ケア病院設置の検討をお願いしました。
2002年5月:「山口県東部に緩和ケア病棟を」との目的で署名活動開始しました。
会員さんの素晴らしい動きであっという間に2万5千人の署名が集まり
ました。
同年  9月:山口県知事に2万5千人の署名を添えて、要望書を直接、お渡ししました。
2004年12月:光市議会へ、「光市立病院へ緩和ケア病棟設置」の請願書を提出しました。
  全会一致で採択でしたが、「医療水準をあげてから緩和ケア病棟のことは
考える」との回答でした。
2005年6月:徳山中央病院院長と面談の機会があり、
      @ 緩和ケア病棟設置の意志がある。
      A 特例病床の20〜25ベッドを、市民運動で何とかとってきてほしい。
B緩和ケア担当医は、「ホスピスボランティアの運営を任せる」と約束。
 この頃から2007年にかけて、徳山中央病院緩和ケア病棟開設に向けて、
「周南いのちを考える会」は、山口県・厚労省との折衝を始めました。
2007年5月18日:県医療対策協議会で「徳山中央病院緩和ケア病棟」のための
特例病床25床の増床について、了承を得られました。
2008年3月31日:県知事から特例病床使用が許可されました
 同年11月: 徳山中央病院に、念願の緩和ケア病棟が開設されました。
ホスピスボランティアの約束は反故にされ、院内での活動はできなかったのは心残りです。


☆2009年9月:山口県と病院長の快諾で、山口県立総合医療センター内に、がん患者さんと、ご家族のための「きららサロン」を開設させていただきました。
 ボランティアスタッフ14名で運営し、7年半で累計3.400人の方に利用していただいています。
 

 上記のほか、講演会・ホスピスケア講座開催・緩和ケア病棟見学・会報発行・患者会・個人的なサポートをして、現在に至りました。










周南いのちを考える会解散のごあいさつ
                       
                前川 育

 この度、会を解散するにあたり、ごあいさつ申し上げます。
 この17年間を振り返りますと、会員の皆さまやがんの患者さんやご家族との出会いは、学びの日々でした。
 50歳の時に2度目の胃がんの手術をした時に、長女にだけ「余命1年」と伝えられていたそうです。痩せて倒れそうな姿で会の活動をしているのを見て、「お母さんは、あと数か月で死んでしまうと心配していたけれど、5年くらい経ったときに、これは生きがいなんだ」と考えを変えたのだそうです。私は、そんなことも知らず会の活動をし、元気で過ごすことが出来ました。
 当時の私と同じように、苦しさや悩みを持っている方が、少しでも気持ちが軽くなるようにと願って、17年間走ってきました。「あなたには使命があるから、生かされているのですよ」とおっしゃってくださったホスピスの医師の言葉を、今、思い出しております。

 今まで患者さんのプライバシーがあり詳細はお伝えできませんでしたが、多くの患者さんの最期に関わらせていただきました。いのちの儚さ、ご本人やご家族のやるせなさや苦しみを感じてきました。一方、最初は驚きながらも、辛い治療を頑張りながら、がんと向き合い、お元気になられた方も多くいらっしゃいます。
 今、ここにいることに感謝して、周りの人を大切に、ということに気づかされ、学ばせていただきました。 

 また、小・中・高校で、小児がんで亡くなった長男のことを話しながら、いのちの大切さを訴える機会を多くいただいたことは、とても嬉しい経験でした。 

 会員の皆様やご縁のあった方々のお顔を思い浮かべながら、今までの17年間を感慨深く振り返っています。

 この1年間は、神奈川から月2回程度は山口に帰り、会の活動をしてまいりました。しかし、物理的な距離は気持ちだけでは乗り越えられないことを痛感し、会の解散を提案し、了承を得たところです。

 今まで会の活動を支えてくださった会員の皆さま、お世話になった関係省庁、ご指導を頂いた先生方、講演会にお越しいただいた皆様、各団体の皆さまに心から御礼と感謝を申し上げます。

※解散後も、日々感じたことや医療情報などをブログで発信していきたいと思っています。
                            平成29年4月
                              


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NPO法人 周南いのちを考える会